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(C53) [PEPPY ANGEL (GRAN, Sakuratsuki Rin)] Baum Kuchen 0:2 Lost Episode 0:1 -Kiss in the rain- (Neon Genesis Evangelion)

(C53) [PEPPY ANGEL (GRAN, 桜月りん)] Baum Kuchen 0:2 Lost Episode 0:1 -Kiss in the rain- (新世紀エヴァンゲリオン)

Non-H
Posted:2022-04-18 17:03
Parent:2098105
Visible:Yes
Language:Japanese  
File Size:447.9 MiB
Length:110 pages
Favorited:27 times
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18
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<123456>
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Posted on 18 April 2022, 17:03 by:   Codjumper    PM
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http://www11.plala.or.jp/fumin-column/peppyangel.htm

ENG:https://e-hentai.org/g/2197346/95e13f0408/
ESP:https://e-hentai.org/g/2197351/22069ebe08/
Posted on 08 May 2026, 17:09 by:   notname000    PM
Score +6
君が、嘘を、ついた
EPISODE 0:6.5
A Rei said all Reis are liars.

その時、世界は凍り付いた。シンジの名前を呼ぶアスカの叫び声、ドアを開け放す荒々しい音。そして次の瞬間に世界はその一切の動きを止めた。
シンジは、ただアスカを見つめ続けていることしかできなかった。ショックと動揺の中で身動きひとつとれないままに、シンジはただ沸き上がり始めた後悔の念が身体を動かしてくれるのを待っていた。
そしてレイは、自分でもよくわからない、名前をつけることもできない想いの中で、何故それが正しいことなのかもわからないままに、まるでそれが唯一の正しい行為であるかのように、ただアスカを見つめ続けていた。
そして…静止した世界にゆっくりと過去が流れこむ。
それは、他の二人には見えない、アスカの世界。彼女にだけは、この場所に別の光景がはっきりと見えていた。
過去は消えない。消え去ってくれはしない。過去という時間が人の記憶の中にしか存在しないものであるのなら、人が過去を覚えている限り、それは常に現在として存在し続ける。
ちょうど今、天井からぶら下がっている女性のように。それは過去ではないし、幻でもない。それは「現在」。
アスカにとっての、今、この瞬間の世界の姿。

「…アスカ…」
シンジが呟いた。自分で話そうと意識することなく、発せられてしまった言葉に特有の、低く抑揚のない声で。
それがキッカケだった。アスカはいきなりその場から身を翻すと、外へ向かって駆け出していった。自分の過去から、現在から逃れるように。現在に追い付いてしまった過去から逃げ出そうと。今までずっとそうやって逃げ続けてきたように。
「アスカ!」
シンジが叫ぶ。叫んでもアスカは止まりはしない。そのことを自分でも知りながら。
慌てて身体を起こして、乱れた服を整える。その時、床に横たわったままのレイと目があった。
「あ…綾波…」
自分が何を言いたいのかがわからない。何を言うべきなのかもわからない。アスカを追い掛けなければと思っていても、追い掛けてどうすればいいのかもわからなった。だから追い付くことも出来なかったのだけれども。
「ぼ…僕…は…」
「いいの」
「…え…?」
「早く」
最小限の言葉。レイ自身の感情の動きの見えない、許しにも拒絶にも聞こえる言葉。
「…ごめん!」
そしてシンジはやはり謝ることしかできない。相変わらず何に対して謝っているのかも自分自身で把握していないままに。
アスカを追って部屋を駆け出していくシンジの姿を、ただレイの赤い瞳だけが追い続けていた。

ゆっくりと閉じていく部屋のドアを見ながら、レイは裸の身体を起き上がらせる。
空っぽの部屋。さっきまでシンジのいた部屋。たったいまシンジが出ていった部屋。
生まれた時から慣れ親しんでいたはずの空っぽの空間に、何故かレイは言いようのない不安をおばえた。
空っぽの部屋。空っぽの身体。空っぽの心。
「サ…ビ…シ…イ…」
空っぽの心に浮かび上がる一つの言葉。

「…!」
部屋の隅に誰かがいた。自分と同じ顔と身体をした誰かが、そこに。
それが何なのか気付くのに数秒の間があった。
壁に掛けられたひび割れた鏡。
確かにそこに存在していてるのに、「本当」には存在していないというものがある。気付かれることのない存在、といったようなものが。
レイ自身、そんな場所に鏡が存在している事を、いままでまるで意識していなかった。
ゆっくりとレイは鏡に近付いていく。
存在しているのに存在していなかったもの。
鏡。サビシイ。ひび割れた自分の裸像。サビシイ。縁に薄くつもった埃。
サビシイ。
淋しい。
鏡に映る自分の姿。その頬が濡れているのにレイは気付いた。そっと指を伸ばしてみる。伸ばした指が自分の顔に触れる。ひどく無機質で冷たい鏡の手触り。
ビクッとして、思わずレイは指を戻した。
もう一度、レイは自分の頬に指を伸ばす。今度は鏡ではない、本物の自分の頬に。
指が頬に触れる瞬間、レイは冷たい手触りの予感に、怯えたように身を固くした。
指が頬に触れる。
暖かい手触り。柔らかい肌の感触。指が暖かい液体に濡れるのをレイは感じた。
シンジの涙。
頬から手を離し、その指を見つめると、レイはそっと指を口に含んだ。LCL に似ている、とレイは思った。
塩水の味。海の味。母なる海の。

「碇君…泣いてた…」
ごめん、と最後に謝ったシンジの顔をレイは思い出す。暖かい涙に濡れたその顔を。
(お父さんが泣くところ…見たことある?)
シンジの下に組み敷かれる自分の姿が見える。その顔は、ひどく邪悪な表情を浮かべているようにレイには思えた。
「…淋しかったのは…私…」
レイにすがりついて泣きじゃくるシンジ。
暖かい涙。
(母さん、助けて…)

頬に落ちる涙。
煙草のにおい。レイの肩をつかむ大きな手。
そして、頬に落ちる涙。
(ユイ…!)
レイは顔を上げた。
鏡の中から、もう一人の自分が見返している。
その頬はすっかり乾いていた。
ゆっくりとレイは呟く。
「そう…やっぱり泣けないのね…あなたは」

ワタシニハ…ニンゲンノフリサエデキナイ…

涙…暖かい涙。
誰にも気付かれず、どこにも存在しないもの。

初号機のケイジ。第 30 日。
「あの日」以来、ここを訪れるのがレイの日課となっていた。何故なのかはわからない。シンジのサルベージ計画はその成功率はともかく、赤木博士の指揮のもと着実に準備が進められている。
レイがここにいても、できる事は何もないはずだった。
自分がここにいる理由はなにもない。
それでも、レイはここにいた。
ただ、ここにいたかったから。
その気持ちが何なのか、レイにはわからない。いや、本当はわかっていたのかもしれないけれど、レイはわからないと思っていた。なぜなら、その気持ちに付けるべき名前を彼女は知らなかったから。
名前の無いもの。どこにも存在しないもの。

涙 心 愛 アイ 哀 私 綾波レイ
私は誰…?

その時、レイは視界の片隅に人影を捉えた。
ケイジの隅に身体を隠すようにして、自分と同じように初号機を見つめている、赤いシルエット。
闇の中で、どこまでも青いその瞳。
レイはスッとその場を離れた。
「何をしているの…?」
背後から声をかけると、相手がビクッと身を震わせるのがわかる。いつもそうだ。
別にこっそり近付いているわけではないのに、何故かすぐ側まで近付いても、レイの気配は相手に悟られないことが多い。自分から話しかけようとしない限りは。
「ファ…ファースト!?」
驚愕…そして、敵意。レイは、その瞳に映る感情の炎をただ見つめていた。自分には決して理解できないものを。
「アンタこそ、ここで何してんのよ!」
レイは答えない。答えられない。
自分が聞きたかったのだ。その答えを。
ひよっとしたら、答えを聞けるかもしれないと思った。もしも、彼女が自分と同じ想いで今、ここにいるのなら。
沈黙。そして憎々しげな声。
「心配で見にきたってワケ?シンジのことが?」
「…あなたは?」
キッとアスカの目がレイを睨む。物理的な憎しみを込めたその目。
「あんなやつ…どうなったっていいわよ」
圧し殺された低い声。
「このまま、帰ってこなければいいのよ!あんなヤツ!」
そしてそのまま、吐きすてるように声を荒げて言い放つ。
だが、その感情の迸りは、全く無反応なレイを前にして行き場を失い、自己嫌悪の波となってアスカに打ち寄せる。
首を飛ばされた弐号機。何もできなかった自分。床の上で抱き合うシンジとレイ。逃げ出した自分。
(あんなヤツ、帰ってこなければいい。)
そしてどうするの?そしてどうなるの?
首を飛ばされた弐号機。
このままずっと負け続けるの?アタシは?
このままバカシンジに負けたまま生きていくの?
床の上で抱き合うシンジとレイ。
こんな女に負けるなんて。こんな人形に負けるなんて。
でも本当は何に負けたの?何が欲しかったの?

天井からぶら下る女性のシルエット。
このままずっと逃げ続けるの?アタシは?
あのバカと同じように?
でも、そのバカに負けたのは誰?
そのバカが欲しかったのは…誰?

(アタシは…アタシは…)

くいしばられた歯の間から、言葉がふりしぼられる。
最後の、意志の力で。
「あんなヤツ、帰ってこなければいい」
もう一度、アスカはそう繰り返す。それが自分の本心だと自分を必死で納得させようと。言葉の力で、自分で自分に呪いをかけるように。

と、その時、
「どうして、嘘つくの?」
レイの言葉に、アスカはハッと顔をあげた。
何の表情も浮かべていない赤い瞳が、ジッと彼女を見つめている。完全にアスカは虚をつかれた。
その時のアスカの顔には、アスカ自身、自覚していない本心が現われていた。
淋しさと、心細さと、戸惑いと、そして…
だが、不意にその表情は怒りにかき消された。
「何が嘘だっていうのよ!」
ゆっくりとレイが答える。
「あなた…自分の心と違うことを喋っているもの…」
レイには、はっきりとそれがわかった。多分、彼女の心の奥底にある想いは、自分のそれと同じものだから。レイにはその確信があったから。
「それ」が何なのか、彼女が教えてさえくれたなら。

「ア、アタシは…」
アスカの身体が震える。
「アタシは…本当にあんなヤツ…!」
もう一度、レイが問う。どうしても答えが欲しくて。自分が何故ここにいるのか。この気持ちは何なのか。
「どうして、そうやって自分に嘘をつくの?」

パァーン!
ケイジの広い空間に、頬を打つ音が大きく響きわたる。
アスカは、レイを睨みつけると、一言だけ言い捨てた。
「人間だからよ!」
そのままアスカは走り去る。一度も後を振り返らずに。
打たれた頬を押さえて佇むレイの頭に、ただ、アスカの最後の言葉だけがグルグルと回っていた。

ネルフ本部、総司令公務室。
「サードチルドレンの EP2 式サルベージ計画は、明日15:00 より開始されます」
「ああ」
「立ち合われますか?」
「必要なかろう。すべて君に任せるよ」
「しかし、成功の確率は…」
「構わん、その時はその時だ」
「…本当によろしいんですか?」
「何がだ?」
一瞬、二人の視線が重なる。と、不意に視線を外してゲンドウは席から立ち上がる。
(噓よ…)
その後ろ姿を追いながら、リツコはそう呟いた。
構わないはずがないのだ。だって、サードチルドレンは…
その想いを噛み殺して、その背へと声をかける。
「司令、どちらへ?」
「ああ、悪いが今日はもう休ませてもらうよ…ところで」
リツコは、この後にくる言葉に備えて、その身体を固くした。
「レイは?」
「さあ、今日は定期のシンクロテスト後は見かけていませんが」
…うまく言えただろうか?声に微妙な感情が入ったりしなかっただろうか?
「そうか」
そのままゲンドウは部屋から出ていく。険しい目でそれを見送りながら、リツコは唇を噛みしめた。
あの人は私に触れようとしない。私のサインに気付いていながら。
本当に淋しいとき、本当に誰かを必要とするとき、あの人は決して私のところには来ない。
彼はいつも、想い出の中に、過去の幻影の中へと還っていく。まるで、母親にすがる少年のように。
それでは、一体なぜ、それが今夜なのだう?
あの人は一体なにが、そんなにつらいのだろう?
決まっている。
サードチルドレンは、息子なのだ。…あの女性の。
リツコは、ルージュをひいた唇を、きつく噛みしめた。

ひとつ頭をふると、リツコはそのまま部屋から退出しようとした。バシュッという音と共に、ドアが開いた、その時
「……!」
リツコはその場に凍り付いた。
過去の亡霊がそこにいた。血と肉と、青い髪と赤い瞳をもった亡霊が。
「…碇司令は…?」
思わず止めていた息をゆっくりと吐き出すと、リツコは落ち着いた声で答えた。
「司令に何か用?」
「呼ばれていたから」
その一瞬、世界が止まった。
次に口を開いたとき、リツコの声は必要以上に冷静に、無機質に響いた。
「残念ね。司令は緊急の会議で外出されたわ」
そう言い捨てて、その場から歩み去ろうとする。
だが、レイはその声の中に聞き付けた。
真実の世界の姿を、意志の力で歪めようとする時のきしみの音。レイには決して理解できない、その苦しげな響き。

「…どうして噓つくの?」
不意に背後からかけられた声に、リツコの足が止まる。
そして、ゆっくりとリツコがレイへと振り向く。
能面のような表情の中で、別の生き物のように輝く眼。
それを見た時、レイの身体に怯えにも似た戦慄が走った。
嫉妬、憎悪、敵意。
先刻、アスカの瞳に見たのと同じものが、そこに在った。
ただし、もっとはるかに明白な「悪意」を伴って。

数秒の間レイを見つめると、そのまま何も言わずにリツコは再び踵を返す。
その背にもう一度問い掛けようとするのを、何かが止めていた。
「人間だからよ!」
先刻のアスカの言葉がグルグルと回る。

何故か、リツコの嘘をありがたいと思っている自分をレイは感じた。
碇司令は会議で外出している。
決して真実ではないはずのその言葉を、レイは真実として受け入れ、そのことで安堵した。そのままレイも、その場に背をむける。
その夜、レイが碇司令のもとを訪れることはなかった。

それから三日後、第一神経外科 273 病室。シンジのサルベージは奇跡的に成功に終わり、レイはこうして、シンジが目を覚ますのを待っていた。
何故なのかを問うのは、もうやめていた。
ただ、ここにいたいから。
それだけで十分だった。
静かな寝顔。ゆっくりと上下する胸。いつまでも、それを見つめ続けていたかった。

と、その時レイは、誰かの気配を感じて顔を上げた。
ドアの向こう側に、人影が見えた。
腕組みをして向こう側を向いているシルエット。太陽を受けて金色に輝いている、その長い髪。
レイが声をかけようとする前に、彼女が首だけを動かしてこちらを振り向いた。
そのまま、静かに相手の眼を見つめ続ける。
一言も、言葉はなかった。
やがて彼女は、レイから目をそらすと、ベッドに横たわっているシンジに視線を移した。
何も言わず、ただ部屋の外からジッとシンジを見つめ続ける。強ばった表情の中、その瞳だけはひどく淋しげに見えた。
そしてアスカは、そのまま部屋へ入ることなく帰っていった。

「う…ん…」
数時間後、シンジが身じろぎをしはじめた。
様子を見ようと、レイが身を乗り出したその時、不意にシンジはレイの手を掴んだ。
「………!」
「…気が付いた…?」

意識を取り戻したシンジに、彼がエヴァに取り込まれた事と、サルベージ計画の内容を手短かに説明する。
事務的な口調で喋りながら、レイは思った。
「嬉しい」と。
今ここにシンジがいることが。
今ここに自分がいることが。
ただ、それだけのことが、何よりも「嬉しい」と。
レイは心からそう思った。
シンジが次の言葉を口にするまでは。

「アスカは…?」
その時、レイの中で音がした。何かが壊れる音。いや、それとも何かが生まれる音が。
そしてレイは、自分の口から流れ出る言葉を聞いた。
「彼女は…一度もここへは来ていないわ」

その日、初めて
君が、噓を、ついた。

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